中国・チベット宣教への手がかり

アジア・アウトリーチ・マレーシア宣教師

　世界中でクリスチャンに対する迫害が増えている中、中国でも政府非公認の教会における活動や経済や場所につい て制限を増す宗教的な規制が新しく施行された。中国国内で大会を企画することや、外国での大会への参加にも政府 からの許可が必要となった。中国本土外にいるクリスチャンとの関わりに対しても制限があり、場合によっては重い 罰則金を支払わなければならないことがある。中国に入国する外国人や宣教師のビザ発行も非常に難しくなってき た。しかし、これは宣教の世界においては決して新しいことではない。ところが、習近平の「中国の夢」やナレンド ラの「ヒンズー・ナショナリズム」やプーチンの「復活したロシア」にも見られるような国粋主義が、この終わりの 時代に、世界各国において広がりを見せていることは確かだ。だが、私たちはまだ光のある間に働かなければならな いと知っている。そして「わたしたちは、わたしを遣わした方のわざを、昼の間に行わなければなりません。だれも 働くことのできない夜が来ます。」( ヨハネ9:4) とあるように、特にイエス様のお名前を聞いたことがない未伝部族 に対する働きへの機会が与えられている。福音宣教に制限が設けられている環境下では宣教戦略を変えて働くことが 求められている。地域教会が外国の資源に頼らずに自分たちで強く立てるようにと励まし、地域教会に属するクリス チャンが宣教に遣わされることが今まで以上に必要となってきた。
　私たちは2018 年3 月にチベット山岳地にて、ある地域教会の協力を得て医療キャンプの働きをした。チベット の少数民族に対する重荷を持っている地域教会を見つけるのは簡単なことではなかった。この地域教会の女性指導者 はチベット人と中国人の混血だったが同胞であるチベット人の救いに重荷を持っていた。私たちはマレーシア人の医 者と歯科医師の2 名、そして現地で数名の医者や2 名の医学生とともに働いた。以前は市民センターなどで医療 キャンプを行っていたが、戦略を変えて村に住んでいるクリスチャンの家を借りることにした。多くの場合、村にい るクリスチャンたちの数は非常に少ないので、彼らが勇気をもってあかしできるようにと励ますためだった。夜にな るとクリスチャンたちが集まって祈り合い互いに交わることができた。集まり続けることが大切だと考え、セルグルー プによって定期的な交わりを保っていくようにとも勧めた。あるチベットの村にはクリスチャンが一人もいなかっ たが、友人にクリスチャンをもつ村長の家を借りることができた。また別の村々では、私たちと同行したマレーシア 人の医者は意図的にすべての人々を診察することをせずに、地域の医者たちに働くチャンスをゆずった。合わせて 213 名を診察し、うち131 名を治療し、67 名に歯科検診を行い、15 名には薬を処方することができた。
　私たちにとって宣教戦略を変えるということは、宣教の幻を地域教会とその指導者に見せることだと考えている。 それによって、地域の医者たちや医学生たちが将来的に自分たちで医療キャンプを企画して福音宣教に加わることを 願っている。地域の人ならば、時々、外国からの宣教師には難しい場所や人々に対しても福音を届けられる可能性が ある。また、同国民であるから文化や現地の人々の考え方について外国の宣教師以上の理解を示すことができる。
　もう一つの戦略はチベット人に仕事やビジネスのチャンスを提供することだ。これはまだ計画の段階にあるプロ ジェクトだ。チベットの起業家たちを励まし、それによってチベット社会に永遠的な影響を与えることができると 信じている。このプロジェクトを通して、ビジネスマンやプロフェッショナルたちが専門的な経験と知識を用いてチ ベットの未伝部族への宣教に加わる機会を得られるようになる。宣教戦略を変えることはグローバル規模でのキリス ト教会と協力することを含んでいるかも知れない。あなたも宣教に加わることができる！チベット人に福音を伝える ために、中国の地域教会はあなたの祈りと支援を必要としている。チベット中で聖霊様が働いてくださり、より多く の人々が福音を聞いてキリスト・イエスに心を向けることができるように共に祈ってほしい。